Git のブランチ機能

ブランチとは

ブランチは開発の本流から分岐し、本流の開発を邪魔することなく作業を続ける機能です。
ブランチを切ることにより、同時並行で目的別に作業をすることができます。
※ブランチを作ることを「ブランチを切る」と言います。
Git は main ブランチがデフォルトになっており、実は初級編では main ブランチで作業をしていました。
ブランチを活用できると以下のような流れで開発を進めることができるようになります。

1. 他のメンバーの作業の影響を受けないように、メインのブランチから自分の作業専用のブランチを作成します。
2. メインブランチから自分の作業専用のブランチに切り替えて作業を行います。
3. 作業が終わったら、メインのブランチに自分のブランチの変更を取り込んでいきます。

このようにすることで、他のメンバーの作業による影響を受けることなく自分の作業を進めることができます。
また、作業単位で履歴を残すことで、問題が発生した場合に原因となる変更箇所の調査や対策を行うことが容易になります。

また、Git ブランチには以下の特徴があります。

• 1つのブランチから複数のブランチを作ることができる
• 作業ブランチを元に新たなブランチを作ることができる

現在作業をしているブランチは以下のコマンドで確認をすることができます。

git branch

git branch コマンドを実行すると、ローカルリポジトリ内のブランチ名の一覧が以下のように表示されます。 現在作業しているブランチの左隣に*が表示されます。
いまは main ブランチしかないため表示されるブランチ名は1つのみですが、
ブランチを増やすと現在作業していないブランチの名前もこのコマンドで確認することができます。

* main

一般的な開発プロジェクトでは main ブランチの内容が納品物（テストが完了した最新のソースコード）となるため、
機能の改修や追加する場合はこの main ブランチから開発用のブランチを切った上で作業を行います。

ブランチを使ってみよう

それでは開発用のブランチを作ってみましょう。
ブランチ名は自由につけることができますが、今回のブランチ名は develop にしましょう。
git branch コマンドの後ろに作成したいブランチの名前を指定すると同じ名前のブランチを作ることができます。

git branch develop

再度 git branch コマンドを実行すると以下のようにブランチの一覧が表示されます。
develop ブランチが作成できているかを確認してみましょう。

  develop
* main

develop ブランチができていることが確認できたと思いますが、現在作業しているブランチを意味する*は main ブランチの左隣にあります。
つまり、ブランチを作ることができたものの、作成したブランチ（develop）を作業ブランチにすることができていません。

まだ main ブランチが作業ブランチとなっている状態のため、作業ブランチを develop ブランチに切り替えてみましょう。
ブランチの切り替えは git checkout コマンドで行うことができます。

git checkout [切り替えたいブランチの名前]

error: pathspec '存在しないブランチ名' did not match any file(s) known to git

今回は develop ブランチに切り替えたいので、以下のコマンドを実行しましょう。

git checkout develop

それでは再度 git branch コマンドで develop ブランチが作業ブランチになっているかを確認してみましょう。 develop の左隣に * があればブランチの切り替えに成功です！

* develop
  main

続いて、切り替えた develop ブランチでファイルを編集してみましょう。
main ブランチで作成した sample.txt には hello と書かれていますが、
これを develop ブランチでは HELLO に上書きをします。

echo HELLO > sample.txt

ファイルの上書きのコマンドを実行できましたら、cat コマンドでsample.txtが上書きできているかを確認しましょう。
cat コマンドの実行結果が以下の通りであれば成功です。

HELLO

ではここで、git status コマンドでステータスを確認してみましょう。

On branch develop
Changes not staged for commit:
  (use "git add <file>..." to update what will be committed)
  (use "git restore <file>..." to discard changes in working directory)
        modified:   sample.txt

no changes added to commit (use "git add" and/or "git commit -a")

On branch develop は develop ブランチで作業していることを意味しています。
Changes not staged for commit は修正はしたもののまだ git add を実行していないため、
コミットができないファイルがあるよという意味です。
その下に modified: sample.txt と表示されていますが、これは sample.txt に変更が発生しているという意味になります。

それでは以下のコマンドを実行して、今回編集した sample.txt の変更内容を Git に登録してみましょう。
ブランチ名が変わってもこのフロー（作業ディレクトリ → ステージングエリア → ローカルリポジトリ）は変わりません。

git add sample.txt
git commit -m "develop commit"

コミットが無事完了できたかをgit log コマンドで確認してみましょう。
コミットのメッセージが develop commit となっているコミットログが残っていれば成功です！

commit 1be05c74b8ae9ce1f8b1a09510b1367c88e1100e (HEAD -> develop)
Author: corgi9n <arapon1015@gmail.com>
Date:   Fri Mar 11 11:21:55 2022 +0900

    develop commit

commit 0336368ff10d1f69849cd5beeda1cf1ed274bb6d
Author: corgi9n <arapon1015@gmail.com>
Date:   Fri Mar 11 03:54:55 2022 +0900

    second commit

commit 5c670db6fc4a8d109a5e2724c421cd8105c2598f
Author: corgi9n <arapon@gmail.com>
Date:   Fri Mar 11 03:44:55 2022 +0900

    first commit

ここまでの Git 履歴を図表にすると、以下のようなイメージになります。
main ブランチの sample.txt には「hello」と「good」が書かれていますが、
develop ブランチでは「HELLO」に上書きされている状態です。

ではここで、また main ブランチに戻ってみましょう。
ブランチの切り替える git checkout コマンドで main ブランチに戻ることができます。

git checkout main

ここで再度 git log コマンドを実行してコミットログを確認してみましょう。
すると、さきほど develop ブランチでコミットした develop commit がないことが確認できます。

commit 0336368ff10d1f69849cd5beeda1cf1ed274bb6d
Author: corgi9n <arapon1015@gmail.com>
Date:   Fri Mar 11 03:54:55 2022 +0900

    second commit

commit 5c670db6fc4a8d109a5e2724c421cd8105c2598f
Author: corgi9n <arapon@gmail.com>
Date:   Fri Mar 11 03:44:55 2022 +0900

    first commit

念のため develop ブランチで編集した sample.txt の内容を cat コマンドで確認してみましょう。
以下のように develop ブランチで変更を加える前の状態になっていることが確認できます。
これは develop ブランチの作業が main ブランチに影響を与えていないことを意味しています。

hello
good

このようにブランチを活用すると、他のブランチに影響を与えることなく作業することができます。

git checkout -b develop